沖縄への移住を考える際、子育て世帯にとっては教育環境が気になるところです。移住先の学校や学区選び、沖縄の教育事情など、お子さんにとって最適な環境を選びたいものです。
この記事では、
- 沖縄の子どもの学力はどう?
- 転校しても馴染みやすい学区はどこ?
- 学校でも沖縄特有の風習があるの?
など、沖縄の学校の特色や風習などの基本情報から、移住者にも馴染みやすい学区まで、沖縄の学校についてわかりやすく解説しています。
また、沖縄のインターナショナルスクールについても紹介していますので、気になる方は参考にしてください。
この記事では、お子さんの学校や学区選び、教育環境などについて詳しくお伝えしているため、学校選びに役立つ内容になっています。沖縄の学校について知りたいかたは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
沖縄移住者が知るべき「沖縄の学校」〜教育環境・基礎知識〜
まずは、沖縄県内にある小学校と中学校、高等学校のそれぞれの学校の内訳と特徴をお伝えします。
小学校・中学校
沖縄県内にある小学校は全部で266校、中学校は全部で150校です。国立・公立・私立の内訳は下記のとおりです。
<小学校>
- 国立 1校
- 公立 261校(うち休校中4校)
- 私立 4校
<中学校>
- 国立 1校
- 公立 143校(うち休校中1校)
- 私立 6校
公立の小中学校の特徴
沖縄の公立の小中学校の特徴は、子どもたちに沖縄文化を継承する積極的な取り組みです。
たとえば、小学校では沖縄の方言による本の読み聞かせや方言クイズ、琉球教室など、学校では子どもたちが楽しんで沖縄の文化に触れられるよう工夫がされています。
また、中学校では、地域活動に参加して沖縄の方言で挨拶をする機会を設けるなど、生徒たちが学校活動を通して沖縄特有の文化を身につけています。
国立・私立の小中学校の概要
沖縄にある国立・私立の小中学校の概要は下記をご覧ください。
学校名 | 所在地 | 小学校 | 中学校 | 概要 |
国立 | ||||
琉球大学教育学部附属 | 西原町 | 〇 | 〇 | 沖縄唯一の国立小中学校です。一人ひとりの個性を大切にし、未来の夢に向かって自力で生きられるよう人間力の育成に取り組んでいます。 |
私立 | ||||
沖縄カトリック | 宜野湾市 | 〇 | 〇 | 幼稚園から高校までの一貫校です。カトリックの理念に基づいた自主自立の育成が行われています。 |
沖縄三育 | 小:北中城村 中:名護市 |
〇 | 〇 | 小学校から大学までの一貫校で、プロテスタント・キリスト教の精神に基づく教育を特色とした学校です。聖書の教えを基にした基礎教育が行われています。 |
沖縄アミークスインターナショナル | うるま市 | 〇 | 〇 | 文部科学省に一条校として認定を受けたインターナショナルスクールです。授業では日本の教科書(英語版)を使用するなど、文部科学省の指導要領に沿った教育を受けられます。 |
海星 | 石垣市 | 〇 | 石垣市にある唯一の私立小学校で、日本最南端にあるミッションスクールです。カトリックの教えを基とした友愛の心を柱とした育成が行われています。 | |
興南 | 那覇市 | 〇 | 沖縄で最も歴史のある私立の中高一貫校です。中学からの6か年コースでは受験に配慮した先取り履修が盛り込まれるなど、独自のカリキュラムによる受験対策が行われています。 | |
沖縄尚学高等学校付属 | 那覇市 | 〇 | 私立の中高一貫校です。詳しくは下記「沖縄の上位進学校」をご覧ください。 | |
昭和薬科大学付属 | 浦添市 | 〇 | 私立の完全中高一貫教育校です。詳しくは下記「沖縄の上位進学校」をご覧ください。 |
高等学校
沖縄県内にある高等学校は、全部で69校です。公立・私立の内訳は下記のとおりです。
- 公立 59校(全日制58校・定時制7校・通信制2校)
- 私立 10校
公立の高等学校について
沖縄の公立高校には、全日制だけでなく、定時制(7校)や通信制(2校)もあります。
また令和7年度年度より沖縄の県立高校の入試では、推薦入試に代わって「特色選抜」が導入されます。この新制度によって受験生は学力検査だけでなく自己推薦ができることから、個性を生かした選抜が可能になります。
沖縄の上位進学校
沖縄の高校におけるトップレベルの進学校は中高一貫校です。それぞれの概要については、下記をご覧ください。
学校名 | 所在地 | 偏差値 | 概要 |
開邦 (公立) |
南風原町 | 67 | 公立の中高一貫校で、学術探究科と芸術科の2つのコースがあります。旧帝大や東京一工、医学科への多くの現役合格実績のある県内トップの進学校です。 |
沖縄尚学 (私立) |
那覇市 | 67 | 国公立大学や難関私立大学の合格実績のある中高一貫の進学校です。旧帝大を目指す東大・国公立大 医学科コースや、国際バカロレア認定の国際文化科学コースなど、5つのコースが用意されています。一人ひとりの学力レベルや進路希望によりコースを選択できるため、個々に合った受験対策が可能です。 |
昭和薬科大学付属 (私立) |
浦添市 | 64 | 私立の完全中高一貫教育校です。(高校からの受験資格はありません。)先取り学習により高校2年生から大学受験に向けた演習を行うなど、徹底した進学指導が行われています。 |
球陽 (公立) |
沖縄市 | 62 | 旧帝大にも合格実績のある公立の中高一貫校です。大学入学共通テストに向けた学習指導や放課後講座を実施するなど、大学受験に配慮した教育活動が展開されています。 |
参考:みんなの高校情報 沖縄
参考:高校偏差値.net
学力テストで見る沖縄の学力レベル
結論からお伝えすると、小学校の国語・算数、中学校の国語において、沖縄は全国水準を維持しています。
文部科学省の公表する令和5年度の全国学力テストの結果を参考に解説します。たしかに全国との正答率の差を見てみると、沖縄は小中学校ともに全国水準を下回っていることがわかります。
科目 | 全国との正答率の差 | |
小学校 | 国語 | -2.2ポイント ⋆全国水準 |
算数 | -4.5ポイント ⋆全国水準 | |
中学校 | 国語 | -4.8ポイント ⋆全国水準 |
数学 | -9.0ポイント | |
英語 | -9.6ポイント |
ただ、文部科学省では全国水準として上下5ポイント以内を目安としており、中学校の数学や英語については全国平均を下回っているものの、小学校の国語・算数、中学校の国語は全国水準を維持しているといえます。
実際には世間で騒がれるほど学力が低いわけではないため、家庭でのサポート次第で学力の向上が見込める印象です。たとえば、小学生のうちは国語の音読を聞いたり、漢字を間違えて覚えていないかなど、地道にお子さんのサポートをしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、中学生になる頃には自然と学習の習慣が身について、個々の学力レベルもアップしますよ。
参考:琉球新報
高校の偏差値からみる沖縄のレベル感
高校偏差値ナビのデータによると、沖縄県全体として学力レベルは低めです。
沖縄の高校は偏差値50以上の高校が11校である一方で、平均を下回る高校は32校あります。また、沖縄の高校の平均偏差値は43と低い水準です。
ただ、公立私立ともに偏差値60台の高校もあることから、生徒によって学力レベルの開きがあることがわかります。
参考:高校偏差値ナビ
大学・短大への進学率は上昇傾向
令和4年度における沖縄の大学・短大への進学率は全国最下位です。
沖縄の大学・短大への進学率は44.6%です。全国平均は59.5%で14.9ポイント低いものの、前年と比べて3.8%増のため、進学率は上昇傾向にあるといえます。
参考:沖縄の進学情報図鑑
「まーめー」と勉強する子を馬鹿にする沖縄文化について
沖縄では真面目に勉強したり、勉強ができると「まーめー」(真面目)と馬鹿にする風潮があります。真面目をバカにする文化は、学生時代ならどこでもあるとは思いますが、このことは覚えておいた方が良いかもしれません。
ただ、カフェなどに行くと高校生が友達と受験勉強をしている光景はよく見かけますので、昔ほどではないかもしれませんし、その学校の人間関係などによるところが大きいと思います。クラスに1人でも大きな問題児がいると、全体のレベル感が大きく下がると言われています。
ここはガチャ的な運要素が正直大きいので、どうしても避けたければ、小中学校であれば、那覇の新都心エリアの学区にするか、私立に行くことを考えた方が良いと思います。
沖縄の中学だと勉強できる人は“まーめー(ガリ勉陰キャ野郎的な意味です)と揶揄されダサいみたいな風潮があるので、頭良い子でも偏差値の高い高校を目指さなかったりすることがあるんですよね…高校選びで人生の幅は変わるのに中学でその価値観に染まると人生が狂ってしまうのです…
— くるみ (@kurukuruttone) May 9, 2020
【沖縄移住】子どもは転校してうまく馴染める?
沖縄にお子さんを連れて移住をする際に、まず気になることは転校先でうまく馴染めるかということではないでしょうか。本土の学校との異なる風土や文化、何よりも気になることは学校での交流関係です。
ここでは沖縄の学校の現実と、お子さま連れにおすすめの学区を理由とともに紹介します。
沖縄は全国ワーストの不登校者数
文部科学省の公開する令和4年度の問題行動・不登校調査の結果によると、沖縄の不登校者数は全国ワーストでした。
不登校の原因は子ども同士の人間関係だけではありませんが、このデータからも分かるように沖縄県ではいじめや暴力による不登校も多いのが現実です。
参考:琉球新報
おすすめの学区
沖縄で教育におすすめの学区は那覇市です。
沖縄に限ったことではなく、一般的に都市部を離れるほど閉鎖感が強く、いわゆる村社会が形成される風習にあります。その閉鎖的な風習は学校での子ども同士の関係性にも影響するため、移住者が転校先で学校に馴染めなかったり、友達ができなかったりとお子さんが学校で辛い思いをする恐れも高いです。
そのため子連れの沖縄移住については、お子さんが学校に早く馴染める環境を考慮し、都市部への移住をおすすめします。
那覇市なら県外からの移住者、転勤者も多く、同じ境遇の子どもたちも多いため、転校先でも比較的スムーズに馴染めるでしょう。那覇市の小学校でも、特に泊小学校がおすすめです。
移住して、移住者は思ってたより多い
沖縄移住前は、移住者はもっと少ないと思っていましたが、移住者だらけというくらい多いです。私は、子供が1歳の時に移住してきましたが、子育て支援センター、幼稚園や小学校のママ友でも移住者はかなり多いです。
というのも、沖縄に転勤してくる人もかなり多いので、那覇市や浦添市あたりでは、本当に移住者が多いです。私は、最初は浦添に住みましたが、移住者の多さに驚きました。おそらく豊見城も多いと思います。宜野湾や北谷も多いです。
身も蓋もない話ですが、子供が学校になじめるかどうかは、結局その子次第かなと思います。子供の性格に合わせて、場合によっては私立の小・中学校に行かせるなど環境を整えてあげられるとベストです。
【沖縄の学校】特色・文化・風習
沖縄の学校には本土にはない特色や、特有の文化・風習がみられます。沖縄の子どもたちは、学校を通してさまざまな文化や風習を身につけています。
ここで紹介することは、本土とは異なる沖縄の学校の特色や風習についてです。沖縄の学校にお子さんを転校させる予定のある方は、ぜひ親子でシェアしてくださいね。
幼稚園と小学校の一貫教育
沖縄の学校は、公立私立ともに幼稚園と小学校が同じ敷地内にあることが多いです。
その起源は沖縄の米軍統治時代にあり、アメリカの熱心な就学前教育の影響によるものです。
沖縄の子どもたちは、上級生が下級生のお世話をするという経験を通して学ぶことも多く、先生たちに見守られながら子ども同士で成長し合っています。
この沖縄独自の学校環境によって、子どもたちは自然と自立や思いやりを育んでいます。
郷土料理で食育
沖縄の学校給食での特徴は、沖縄の郷土料理が食べられることです。
有名な沖縄そばやチャンプルー、またデザートにもちんすこうや特産を使用した紅イモチップスなど、給食の献立表を見るとたくさんの沖縄料理があります。
沖縄の子どもたちは、この食育によって沖縄の食文化を学んでいます。
授業参観にフォーマルは浮く
沖縄の学校での授業参観では親の服装に注意です。
学校の授業参観では、多くの親御さんはマナーとして服装に気を遣いますよね。ですが、沖縄では授業参観にスーツやネクタイ姿で参加すると、かえって浮いてしまいます。
沖縄の授業参観では、文化を尊重した堅苦し過ぎない服装が好まれます。
服式登校
次に紹介する沖縄の学校の風習は服式登校です。
服式とは子どもたちが学校で着るフォーマルな服装で、襟付きの白いポロシャツに黒いハーフパンツ・スカートの装いです。
制服ではないため家庭ごとに準備します。そのため沖縄の衣料品売り場には「服式コーナー」が用意されています。
沖縄の子どもたちは、始業式や終業式などには「服式登校」です。こうして子どもたちは、学校でも沖縄独自の風習を身につけています。
「正座」の意味
さいごに紹介するのは、沖縄の学校での「正座」という言葉の使い方です。
学校では授業が始まる前に「起立!」と号令をかけますが、沖縄では「正座!」といいます。実際には床に正座をするわけではなく、「(椅子に座ったまま)姿勢を正して」という沖縄の学校で使われている号令です。
この沖縄独自の風習は本土から転校してきたばかりのお子さんは、初めは少し戸惑ってしまうかもしれませんね。このあたりは慣れです。
インターナショナルスクールを目的とした教育移住も多い
沖縄はお子さんの教育を目的とした教育移住先として人気です。
【沖縄に教育移住する理由】
- 国際交流が盛んな環境で育てられる
- インターナショナルスクールの学費が安いから
- 自然豊かな環境で子育てできるから
ここでは沖縄のインターナショナルスクールの概要についてお伝えします。
なお、インターナショナルスクールへの入学を決める際は、お子さんの将来の基盤をどこに置くかが重要です。バイリンガルを目指すけれど、国内での進学を視野にいれているような場合は選択肢が限られるため注意してください。
沖縄のインターナショナルスクール
学校名 | 所在地 | 認定 | 対象 | 入学時期 |
沖縄アミークス インターナショナルスクール | うるま市 | 一条校 | 幼稚園-中学校 | 4月 |
オキナワ インターナショナルスクール | 南城市 | 国際バカロレア | プリ-中学校 | 4月 |
オキナワ クリスチャンスクール インターナショナル | 読谷村 | WASC/ACSI | プリ-高校 | 8月 |
ザイオン クリスチャン アカデミー | 北谷町 | ACSI | 幼稚園-高校 | 8月 |
ダヴィンチ インターナショナルスクール | うるま市 | 米国認定プログラム | プリ-大学 | 8月 |
ニューライフ アカデミー | 中城村 | — | 幼稚園-高校 | 8月 |
ビージービースクール | 北谷町 | ACSI | プリ-小学校 | 9月 |
ワールドミッション クリスチャン スクール | 中城村 | — | プリ-高校 | 9月 |
クローバー モンテッソーリ インターナショナルスクール | 宜野湾市 | — | プリ-幼稚園 | 随時 |
授業料
インターナショナルスクールは、一般的に年間の授業料が200万円~250万円、学校によっては300万円ほどかかりますが、沖縄では100万円前後と安さが魅力です。
対象年齢
対象年齢はスクールごとに規定があり、どのスクールも幼児期(プリスクール・幼稚園)からの在籍が可能です。
認定校
沖縄のインターナショナルスクールはたくさんありますが、一条校(学校教育法第1条に規定する学校)は沖縄アミークス インターナショナルスクールのみです。文部科学省の指導要領に沿った授業を受けられ、また教科書も日本の教科書の英語版を使って学習するため、県外からの教育移住者に向いています。
また、オキナワインターナショナルスクールは国際バカロレア(IB)に認定されたバイリンガルスクールです。こちらも文部科学省の定める義務教育の全課程を学べるため、将来的に日本に基盤をおくお子さんに適したスクールです。
その他
入学時期や新学期などのスタート時期は、春か秋でスクールごとに異なります。また、スクールバスや給食の有無もスクールごとに異なります。
まとめ
今回は沖縄へ子連れで移住するご家族に向けて、沖縄の学校や教育環境などについて解説しました。
この記事では、沖縄の学校の学力レベルのほか、特色や文化についてお伝えしました。また、県外からの移住者に向けて、お子さんの通うおすすめの学区や学校も紹介しました。
そして、インターナショナルスクールについても紹介したため、沖縄の学校についての概要がわかったのではないでしょうか。
ご家族で沖縄に移住を計画されていて、お子さんの学校選びに悩まれている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。